令和4年度裁判所職員採用総合職試験(裁判所事務官)・一般職試験(大卒程度区分)第1次試験専門試験 No39
市場理論(従量税)の問題を取り扱います!
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問題は、【禁転載】マークがついているので、問題を直接掲載はいたしません。
公開されているうちに、こちらよりご覧ください↓↓↓
https://www.courts.go.jp/saiyo/siken/siken_mondai/index.html
(裁判所職員採用総合職試験(裁判所事務官)の第1次試験、
ファイル名「専門試験(多肢選択式)令和4年度」のNo39をご覧ください。
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完全競争市場における、税金の効果を分析する問題です!
今回の問題では、企業に課された従量税100円を、消費者と企業がどのように負担しているかを考えていきます。
【従量税】ある財を販売する数量にかかる税金
(1個あたり○円、1kgあたり○円など)
販売するときにかかる税金のため、生産者に課税されます。
そのため、生産者は税金分の費用が増えるため、値上げをすることで、税金分を回収しようとします。
(課税後の財価格)= (課税前の財価格)+(税金)
例)課税前の価格が200円で、従量税50円が課された場合
(課税後の財価格)=200+50=250円
ただし、市場では消費者の動きもあるため、課税された金額全てが、商品価格に転嫁されるわけではありません。一般的には、課税分は、消費者と生産者が、お互いに負担することとなります。
消費者の負担:財の価格が上昇した分
生産者の負担:課税された金額のうち、財価格に反映されていない分
例1)100円課税後に、商品価格が50円上昇した。
→商品価格の上昇は、消費者の払うお金が増えることを意味しているため、50円は消費者が負担したこととなる。
(負担割合は100円のうちの50円なので、50/100で0.5となる)
→残った50円分が、企業が負担した部分となる。(負担割合は0.5)
例2)100円課税後に、商品価格が変わらなかった。
→商品価格が変わっていないため、消費者の負担はゼロ。税金の100円分全てを、企業が負担したことになる。
(企業の負担割合は1。素晴らしい企業努力です!!笑)
そのため、課税前と課税後の価格を求め、価格の上昇分を考えることで、消費者・生産者それぞれの負担割合を導くことができます!
【解説】
①課税前のある財の均衡価格Pを求める。
完全競争市場のため、需要D(消費者側)と供給S(生産者側)は一致する。
従って、D=Sが成り立つ。
D=1200ー0.5P、S=2Pより、
1200ー0.5P=2P
(小数を消すために、両辺を2倍して)
2400ーP=4P
(移行して整理すると)
2400=4P+P
2400=5P
P=480
よって、課税前の均衡価格は480 ーーー(a)
②課税後のある財の均衡価格
企業に従量税が課されるため、供給曲線:S=2Pが変化する。
S=2P → S=2Pー200
(※求め方は複数あります。後半を参照)
完全競争市場よりD=Sとなるため、
(消費者は税金を課されていないので、Dはそのままの式を使います)
1200ー0.5P=2Pー200
(小数を消すために、両辺を2倍して)
2400ーP=4Pー400
(移行して)
2400+400=4P+P
2800=5P
P=560
従って、課税後の均衡価格は560 ーーー(b)
(a)(b)より、財の価格は80円上昇しているため、
消費者負担分:80円
生産者負担分:20円
となる。
ゆえに、それぞれの負担割合は、(それぞれの負担部分)/(従量税全体)より、
消費者:80/100=0.8
生産者:20/100=0.2
答えは、5
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※課税後の式変化は、3パターンで導けそうです。ご自身に合うものを使ってください!
1)S=2Pを変形して考える。
従量税により価格Pの変化があるため、P=の形にし、Pを中心に考えます。
S=2P → P=0.5S
従量税100円が課されることから、価格Pの上昇が起こるため、P=の式に従量税100円を追加して、
P=0.5S+100
(両辺を2倍して)
2P=S+200
(移行してS=の形にすると)
S=2Pー200
2)グラフの平行移動の考え方を使う
グラフSが課税により平行移動すると考える。(上or下)
従量税を課すことで、価格は高くなるため、100だけ上(プラスの方向)に移動する。
よって、元々の式のPが、100だけプラス方向へ平行移動するため、
P → P-100(プラスへ100移動するので、−100に変えてあげます)
※平行移動の場合、プラスへの移動ではマイナスを、マイナスへの移動では、プラスの符号をつけることになります
元の等式S=2Pの、PをP-100に交換して、
S=2(Pー100)
(展開して()を外して)
S=2Pー200
3)生産者目線での商品価格の変化から考える。
従量税の説明の個所でも記載しましたが、課税後の商品価格は、
(課税後の商品価格) = (課税前の商品価格) + (課税額)
となります。
課税後の商品価格をP’とすると、
P’=P+100
上の式より、元々の価格Pは、移行によって
P=P’ー100 となります。
これを、S =2Pに代入すると、
S=2(P’ー100)
S=2P’ー200
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以上、市場理論の従量税の問題でした!
中学校の方程式が解ければ、答えを導くことは容易ではなかったでしょうか??
簡単な数学で解くことができる問題も多いので、皆さんぜひチャレンジしてみてください!
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